先生は『あー悪い』と言いながら部屋を出て言った。
俺は何を考えてるんだ、何を言ってんだ、何を言っちゃってんだ、ほら今だって意味わかんねー、俺は、香織ちゃんの病室から出て廊下で突っ立っている。
『榊先生、どうしたんですか?』
『うわーーー、!なんだ、真斗か』
『なんだじゃないですよ、こっちがびっくりするじゃないですか』
『あー、悪い』
『榊先生、顔真っ赤ですけど、熱でもあるんですか?』
ほら、後輩、義弟にまで心配かけてる俺ってなんなんだ。
「大丈夫だ、心配ない」
ほんとに大丈夫なのか俺
何このモヤモヤ。
ただいま、榊先生の車内です。この沈黙どうしたら……
そう考えてたら家に着いた。良かった、近くて。先生の車を降りて家に入り必要なものをまとめて出ようとすると、胸のあたりに違和感が…
「嘘でしょ、こんな時に」
早く行かなきゃ、先生来ちゃう
「香織ちゃん?大丈夫?』
先生来るの早いよ
「せん、せ、ちょっと苦しい」
「落ち着いて、ゆっくり深呼吸しよっか」
なんとか治った頃には体力がなく、いつのまにかわたしのからだは先生の腕の中。
「すいません、私」
離れようとすると
「このままつかまってて」
姫抱きにされていますよね?
「先生、大丈夫です、おろしてください」
「頼るって約束したでしょ、気にしないの、はい、荷物持って来るから、車で休んでて」
そう言って車のドアを閉められた。私の体は動くことなく…シートを倒し目を閉じた
変なことばっかり考えてる暇じゃない、香織ちゃんが車から降りてなかなか戻ってこない、まさか発作?まさかな、とりあえず見に行くか。一人暮らしだとは思えない家の扉を開けると香織ちゃんがうずくまってる?
「香織ちゃん?大丈夫?」
駆け寄ると、香織ちゃんは少し顔を上げ、
「せん、せ、ちょっと、苦しい」
これは喘息の発作ではなさそうだな、心臓か、
「すいません、私」
何故か謝って、離れようとするのを
「このままつかまって」
と言って姫抱きにした。この時は照れなんてもの何もなかった。ただただ香織ちゃんを助けたかった。まだ荷物を車に詰めてなかったから香織ちゃんを車に寝かせまとめてあった荷物を運んだ。車に戻れば香織ちゃんがぐっすり眠っている。可愛いと思ったのは無自覚だ
「んー、あれ、病院、どうやって帰って来たんだっ…………k、アーーーーーー」
姫抱きなされたことを思い出しでかい声を出してしまった。口を手で抑えたのも遅かった。
ガラッー
「香織ちゃん?!どうした!」
「あ、えっと、ごめんなさい、夢を見てて」
「あ、そっか、良かった、なんともなくて」
先生、心配してくれたんだ