『あの、』
『ん?』
『食欲がないんですよね。』
『あー、そうか、じゃー、点滴入れるけどいい?』
『お願いします。』
別に点滴が怖い人間じゃないから無理に食べて戻すより全然よかった。
『点滴準備お願いします』
先生がPHSで誰かに連絡を取っている。
『先生、手間かけさせちゃってごめんなさい』
『何言ってんの、仕事なんだから、香織ちゃん気にしないで』
栄養剤を打ってもらい、二、三日寝てなかったせいかすぐに眠りに落ちた。
翌朝
『ん、まぶし』
やっぱり朝は苦手、寝起きの上眩しい朝日に照らされてる私、イライラする。
『おはよう、起きた?』
『あ、先生いたんですか、おはようございます』
『いたんですかって、、まぁいいや、検温ね、』
ピピピ、ピピピ
体温計が音を立てた。
『何度だった?』
『37.8でした』
なんか以外と熱あんじゃん…
『んー、8度いってないから大丈夫だな、今から検査だけどしんどくなったらすぐに言ってね』
『ハイ』
なぜか車椅子に乗せられ検査室まで。
一通りの検査を終え、部屋でゆっくりしてると、奈々からのラインが来てたのを思い出した、全部心配してるLINE。昨日返せてなかったから相当心配かけたな。奈々にラインを返し、疲れたなーと思いながら横になっていると
ドアが開いて榊先生が入って来た
『榊先生、香織ちゃんの検査結果出ました』
『ありがとう、真斗』
後輩の真斗、正確に言えば俺の義理の弟に当たる。玲の旦那だ。
『でも。榊先生、香織ちゃん…』
『ん?あー、やっぱりな』
『知ってたんですか?』
『あー、薄々な。それに本人もわかってるよ』
なんでこんなになってまであいつは体のことを隠すんだ。医者に隠したっていづれバレるものを
『あ、香織ちゃん、疲れちゃった?』
香織ちゃんの病室に行くと香織ちゃんは検査で疲れたのかベッドに横になっていた。
『ああ、大丈夫です』
ほらな、なんで…
『検査結果出たよ。香織ちゃん、今から俺が言うことほんとはわかってるんじゃないの?』
俺は少しキレ気味で香織ちゃんに問いただした。
『………心臓ですか』
ほらやっぱり。
『ああ、ここまで来ていて、気づかないはずないよな?この間再検査に来た時も何か隠してたんだろ?ほんとのこと話してくれないか』
香織ちゃんは少し俯いて話し出した。
『1人でなんとかしなきゃ、誰も助けてくれないんだから…もう私も大人。1人でなんでもできなきゃ、お母さんに、お父さんに笑われるんです。だから』
確か、香織ちゃんのご両親は香織ちゃんが生まれてすぐなくなったって。施設で育ったんだよな