失敗だったかな、と思う。もし私がそれは男だよ、それもいい感じの男なの、と伝えていたなら、崇哉はどんな反応をしていただろう。


あからさまに不機嫌になるまではいかなくても、ちょっと、口数が少なくなる、みたいな変化は見せてくれたんじゃないだろうか。


ヤキモチとか、嫉妬とか、そういった類の感情を芽生えさせられたかもしれない。


まあ、そんなのは私の妄想で、多分、現実なら崇哉はきっと、女友達だと伝えた今と何一つ変わらない反応を返したに違いないけど。


崇哉にとっては、私の友達が女だろうが男だろうが、どちらでも関係ない、取るに足らない情報なのだろうから。



「お待たせ致しました、カルーアミルクのお客様」

「はい、こっちです、どうも」

「で、こちらビールですね」

「どうも」



私の前に置かれたクリーム色したお酒。


コーヒー牛乳みたいな味のする甘いお酒。


崇哉の前に置かれたのはビールで、彼はまたそれを半分くらいまで一気に飲み干した。


ごくごくと動く、喉仏がかっこいいなあ、なんて思いながら眺めてたら、ジョッキを置いた彼とふとばちりと目が合って、崇哉はちょっと微笑む。