「おかわりいる?」




私の空いたグラスをわざとらしくなくごく自然な風を装ってちらりと見た崇哉は、さも気の利く男であるかのように私に微笑みかけた。




「……あの、じゃあ……」


「ジュースなんて頼まないよね? 甘いお酒でいいから付き合ってよ」


「でも、」




グレープフルーツジュースを注文しようとメニューを眺めていた私の思惑を知っていたかのように、崇哉は勝手に店員さんを呼んで、カクテルを注文する。


本日二杯目。


崇哉に言わせればアルコールなんてほとんど入っていないジュースみたいなお酒。


でもお酒に弱い私は、さっきの一杯ですでに顔が火照り酔いが回ってきていることを自覚していた。




「大丈夫? 酔ってない?」


「……酔ってないよ」


「だよね、まだ酔わないよね」




ジョッキに少しだけ残っていた生ビールを一気に飲みほした彼は、やけに冷静な声で言って自分の分のおかわりも注文する。


忙しそうな店員さんを見て、さっきわたしのカクテルを頼んだ時と一緒に注文してあげればよかったのに、と、少しだけ思った。