「え、由里香!?」
友達の声が背中にぶつかる。
先生が私を呼び止める声も聞こえた。
だけど。
なんでそんなに不器用なの。
私のため?
遠距離は申し訳ないとか、思っちゃった訳?
私を寂しくさせるとか、悩んじゃった訳?
馬鹿言うな。勝手に決めるな。
私のためになんかなってない。
全然、嬉しくない。
電車の中だとか関係なく、私は泣いてた。
胸が痛かった。
少しでも彼を悪く思った自分が憎い。
別れを告げられた時、彼の気持ちに気付けなかった自分が憎い。
何も知らずに彼の優しさを享受していた自分が憎い。
彼のことだから、私に気付かれないように必死だったんだと思う。
どうやったら気付かれないか、たくさん考えたんだと思う。
私も気付けなかった。
だけど。
――言ってくれた方が、数倍嬉しかった。