「ごめんね、気が利かなくて。邪魔者は早く退散するべきだったね」

「ち、違う、」


彼女が慌てて首を横に振る。

俺はこんなところで、彼女に気を遣わせてしまうらしい。


消えてなくなりたい。

それ思ってしまうくらいに、彼女への想いは大きくなりすぎた。


「健人にも言わないから。大丈夫、安心して」

「ごと、く」

「大丈夫だって。俺、けっこう口堅いし」


俺にしては驚くほど饒舌だったと思う。

オムライスを食べながら話していた時とは比べ物にならないくらい、俺の口は早く動いてたと思う。


マドンナの慌てる様子は変わらない。

俺が高校の誰かに言うって、そう思ってるんだろうか。

それなら心配いらないのに。

俺はたぶん、このことを思い出したくないものにしてしまうと思うんだ。


「まじでごめんね」

「、ねえ」

「あの人の代わりが、俺でごめん」


彼女は本当は、あの“裕樹”って人を誘いたかったんだと思う。

だけど、何かがあって、俺になってしまった。


とんだ代役不十分だ。