地元の知り合いなんだろうか。

彼女はにこにこ笑ってて。

さっきまでその笑顔は、俺に向けられていたのに。


どんどんともやが広がる。

その一方で、情けない自分に、嘲笑が漏れた。



俺は彼女のメールアドレスも知らない。

何も、知らない。

ただの。ただの、クラスメイトだ。


調子に乗ってたんだと思う。正直。

彼女と話ができて。しかもそれは彼女が話し掛けてきてくれて。

どっかで、調子に乗ってたんだと思う。

なんだかんだマイナス思考なこと言って、本当はこの状況を本気で満足しているのに。


考えてもみろ。

俺は何もしてない。

話し掛けてもない。

遊びに誘ってきたのは彼女だ。


俺は……、――自分の力で何もしていない。


目の前では、2人が楽しそうに会話を繰り広げていた。

俺の知らない世界。

俺の知らない、関係。


こんなところで突っ立っている自分がどんどん惨めになってくる。

俺は、本当に、本当に、何をやっているんだろうか。

今まで、何をやってきたんだろうか。