でもマドンナが無愛想な態度で対応しているところを見ると、知り合いってことはないらしい。

っていうか、なんか誘われてない?

……。え?これって、…ナンパ?


俺は2人を見つめながらしばらく立ちすくんでた。

そうか。そうだよな。マドンナは、…これが当たり前なのか。



「ね、いいでしょ?」

「いや、ほんとに困るんで」

「困ることはないでしょー」


俺が立ち止まってる間に男の行動はエスカレートする。


男は、マドンナの右手を掴んだ。


「ね、どうせ誰も来ないんだろ?楽しませてあげるからさぁ」


そうしてその手をどんどん引っ張る。

え?や、これはやばい。


そう思った時にはもう俺の足は動き始めていて。

さっきは鉛のようだった足が、嘘のように動く。

最初は早歩きだった歩みは、いつの間にかより速いものに変わる。


もっと早く、見つけた時にこうするべきだったのに。

なんで俺はこう。


「っ、やめてください」

「は?」


男が立ち止まって俺を見る。

思わず怯みそうになった。

そんなに睨まなくてもいいではないか。