この後、本気で慌てた俺は思わず本音を言ってしまった。

その後の返答に困るのは、彼女だっていうのに。


「っむしろ、その逆で。ほんとっ、嬉しい」


言った後に全力で後悔した。

その言葉を聞いた彼女が、一瞬にして固まったから。


こういうのは本人に言うべきものじゃなくて、自分の胸に秘めておくべきものなのに。

本当にぽろっと口から出してしまった俺は。


――すっごい馬鹿なんだと思う。


意識せずとも顔が熱くなるのを感じる。


「いや、え、あ、今のは、」


なんの弁解にもならない言葉の欠片が零れ落ちる。

彼女はゆるゆると下を向いてしまって、どんな表情をしているか分からない。


……え?もしかして、ばれた?

俺の気持ち、ばれた?


ついさっきまで熱く感じていた顔は、次にはどんどん血の気が引いていくのを感じていた。

さっきの熱、どこいった。


え、嘘だろ?……まじ?


「あ、あさ、…」

「――…もう、嬉しいこと言ってくれるじゃん!」


――…う、ん?