真っ赤に染まるマドンナの顔。
これは窓から差し込む夕日のせいじゃないと思う。
「え?」
俺はさっきから同じ言葉ばかり繰り返してる。
正直、それ以外の言葉が見つからない。
俺は今、どんな顔をしてるんだろうか。
マドンナみたいに頬を染めるっていうことはないと思う。
たぶん、見ていられないくらいのアホ面、なんだと思う。
「ご、ごめ…!!」
なぜか謝られてる。
「ご…、ごめん」
なぜか謝られてる。
そうか。謝られることなのかって、何故か他人事のように見ていた。
マドンナの慌てる仕草を。
赤みの引かない表情を。
どうしたらいいんだろう。
こんな、俺の人生に反するような普通じゃない出来事を。
俺はどう、答えるのが正解なんだろう。
普通じゃなさすぎる。
ということは、これは夢なのかもしれない。
「ご、ごめん…」
マドンナが触れた唇の熱も、夢なのかもしれない——。