「山の部落って、どこなん?」


「ここから十五分くらい上った所の山の斜面にある集落じゃ」


「わしの家から、まっすぐに上に行くと、この家と同じくらいの大きな家がある」


「そこに山の部落長のシロクロが住んでいるのじゃが、なかなか話し合いには応じてくれずに、困ったものじゃ」


「なんで話し合いに応じてくれへんの?」


「それはな、昔、人間が住んでいた頃の話じゃが、シロクロの住んでいる家の主人が、この猫谷部落全体の部落長だったのじゃ」


「その頃のプライドがあり、谷の部落の者を自分らより見下して見ているのじゃ」


「そして、わしらが漁をして獲った魚を税金として差し出せと言うのでな、それだったら、わしらにも草を取らせてくれと言ったら、税金を倍にすると言ったのじゃ」