自転車を飛ばしながら、僕の頭は少し前の期末試験の時よりも多い回転数で駆動していた。

少し自分を捨てるには、タイミングが早かったらしい。

一歩譲って、猫が人語を喋られるとしよう。
それでもあの小さな脳みそでは、対等な会話は出来ないんじゃないのか?

カゴに一生懸命爪を立てて、ヒゲをぴんと張って衝撃に耐えているこいつと、確かに会話をしていた。

頭いいんだな、こいつ。



この時は必死に、今考えるととりとめも無い事をフルパワーで考えていた僕に、他に重要な懸案事項があるという事を、気付けるはずが無かった。


何故人語を操る猫が、僕の名前を知っているのだろうか。