「ウッス〜!」
予鈴ギリギリに、教室の扉がガラッと開く。
彼が入って来た瞬間、パッと教室の雰囲気が明るくなる。
「拓海、おっはよ〜♪」
「あはは!寝癖ついてるよお〜!」
彼の周りには一斉に人が集まる。
彼はクラスの人気者で、太陽みたいな存在だ。
「あ〜!今日も拓海かっこいい!!」
私の隣で里穂が耳打ちする。
そう、拓海は里穂が現在片想いしている相手でもある。
もうほんとに大好きみたいで、いつも嬉しそうに拓海の話をしている。
みんなと楽しそうに会話を交わした後、拓海がアタシと里穂の元へ歩いてくる。
「真緒、里穂、今日の帰りカラオケ行かねえ?蓮も誘ってさ!俺今半額券持ってんだよね!」
「やったあ!!行く行く♪」
すかさず里穂が返事をする。
とっても嬉しそうな顔をしていて可愛いなあ。
「あれ?てか蓮は?学校来てなくない?」
アタシが何気なく聞く。
「あー、アイツどーせまた寝坊だろ!ほんっとしょーがねえよな!」
やっぱり。最近は前に増して遅刻グセが酷くなってる。ほんとにしょーがない奴だなあ。
同じクラスのアタシ、里穂、拓海、蓮は、仲良しメンバーだ。
よく放課後一緒に帰ったり、寄り道をしている。
一緒にいると落ち着くし、私はこの3人のことが大好きだ。