「街は人が多いから、迷子にならないように...」

ボソリと言ったブランは、部屋を出て視界に誰もいないことを確認すると私の手を握って歩き出した。

急に握られた私は、驚いて心臓がバクバクしてしまう。

「だ、大丈夫だよ。」
「駄目。君は危なっかしいから。」

優しく笑ったブランの瞳はキラキラしていて。何だかとても久しぶりな気がする。この笑顔は、余計に私の心臓の鼓動を早めてしまう。