「いや、変なバイトとかじゃなくて。ちょっとお菓子とか配ったりするだけだから。」
「なんでお菓子を配るのにこんな格好する必要があるんだい?」
少し焦ったように見えるレイリーに、ブランがまともな質問をすると、レイリーはさらに焦ったように見えたが声は冷静だ。
「1番街の人通りの多いところで、僕も近くにいるつもりだし。」
「だったら、尚のことこんな格好させられない。当日は北の異民族まで来るんだよ?」
「僕も、そこの狼の化身もペングウィンもいるわけだし、大丈夫だよ。」
「駄目だ。絶対却下。」
バスンと切られたブランに切られたレイリーは、不服そうに頬を膨らませた。結構ムッとしているのか、急に敬語が入りだした。
「何故です?契約には違反していません。」
「している。不適切なことはさせないと約束したはずだ。」
「どう不適切なんです?」
「ルカのような人間が、こんな格好で街をうろつくのは良くない。」
「誰にとってですか?」
「ルカ自身のために決まってるだろう?」
「副隊長殿が個人的に嫌なんではないですか?」
部屋がしんと静まり返った。