街のいたる所に古い城壁が残っているのは、アルトによるとこの街は城壁をどんどん外側に広げることで大きくなってきた街だからその名残だそう。城壁のレンガを調べることで、いつ頃までに街がどれだけの広さを誇っていたかわかるらしい。そんな風に街のいたる所で歴史を感じる壁を、いくつか乗り越えると、1番街が見えてきた。


「…なんか思ったより着くの早かったね。」
「明らかに近道通ってんだろーが。」

そう言って、アルトは突然私の手をとって歩き出した。

「ちょっ…」
「1番街はやたら人が多いし、異民族とか国の外から来てる者も多い。この前だって広場が爆破される事件があった。おめーは何も知らねー赤ん坊だから気ぃつけねーとなぁ…」

アルトの私の手を握る力が強まるが、一歩が大きいためついていくのに私は必死だ。

「ちょっと、早いって!」
「さっさと買い物なんて済ませよーぜ。ったくあのガキは、俺らを小間使いかなんかだと思ってやがんのか?」

レイリーに渡された買い物リストを見て、アルトは怪訝な顔をしていた。

「…奴の趣味にあんま口出したくねーんだが、こりゃ一体何のつもりだか…。」

ため息が漏れた。