「ここは9番街だからなぁ…。街の端っこなんだよ。だからこんなもんは売ってねー。」
「じゃあどこだったら売ってるのよ?」
「1番街あたりまで行くしかねーだろーなぁ。狼の足だったらあっという間だが、人間の足だと結構かかるぜ。」
アルトは肩をすくめてみせる。どんなに遠かろうと行くしかないわけなんだけど。
「じゃあ、1番街の方向まで案内してよ。」
「ったく、しゃーねーなぁ。」
そう言って、アルトの後ろについて歩き出す。しばらく沈黙が後に続いて、私は狭い路地を、アルトの銀色に揺れる髪の毛を後ろから見ていた。
「ねぇアルト?」
「あぁ?」
私がふと口を開くと、考え事でもしていたのか、少し腑抜けた返事が返ってきた。
「どうして私のお世話をしてくれるの?」
「あぁ?」
今度は明らかに苛立ちがこもっていた。