図書館はちょっとした郊外にあるのか、しばらくは見渡す限りの芝生と時折ポツンポツンと点在する、空き家のような住居のみ。

それが、街の様子帯びてくるのは、歩いて15分ほどの壊れたレンガの古い城壁を曲がった頃からだ。

「わァ…」

街がある。人が歩いてる。当たり前の光景だが、この世界に来て初めて目にすする景色に私は心が躍った。アルトは隣で驚いたような顔をしているが、あれもこれも珍しいから仕方がない。

「ヨーロッパって感じね!」
「よーろっぱ?」

石造りの建物の多いその光景は、まるで私の元いた世界のヨーロッパのどこかの都市を思い起こさせる。石畳に石造り、どの建物を取っても、3階建以上はあるのではないかという高さである。


「何、そんな珍しいのか?」


アルトがよほど可笑しかったのかクスクス笑い出した。だってこんなに感動したの久しぶりなんだもの。