その指が離れると、ブランはシルクハットを深々と被って、ドアの前に差し掛かると、小さく「おやすみ。」と私に声をかけた。


バタンとドアが閉まったあと、カチャリと私は鍵をかけた。



それから、ブランの足音が遠ざかって、気配を感じなくなった後、何故か真っ赤になって布団の中に潜り込んだ。




ブランは私のためを思って、ただ鍵をかけることに念を押したかっただけ。それなのに...






やたら頬が熱くて、その日はなかなか寝付けなかった。