今日はそういえば、ブランにもアルトにもまだ会ってない。ブランはとにかくとして、アルトは私の世話をするとか言って、結局この部屋にも姿すら表さないわけで。まぁ、あのいい加減な性格じゃあ無理もないけど。
その時、ギイと入り口の扉が開いて、白い毛がふわりと隙間から覗いた。
「アルト…!」
そこには大あくびをしながら部屋に入ってくるアルトの姿があった。
「狼の化身…重要な時にどこに行ってた?」
レイリーがムッとしたように尋ねる。そんなものどこ吹く風でアルトは眠たそうに答えた。
「一応、嬢ちゃんのことはブランに言われて迎えに行ったんだけどよぉ…」
「どこへ?」
「ブランの家に決まってんだろーが。でも誰もいないようだったから図書館に戻って寝てたぜ。」
悪びれる様子もなく、飄々と答えるアルトにレイリーは内心憤慨しているようだ。そして、私の方を振り返る。
「ルカさん、こいつはダメだよっ!」
「ありがと、レイリー。でも入れ違いになっただけかもしれないから。」
そんな私たちのやり取り関係ないとばかりに、ファと息を吐くと、アルトは床に顎をつけた。