初めてこの異世界に来た日、ブランと出会った日を思い出してみる。見知らぬ部屋に、何だか黒い大きな生き物が襲ってきたけど、ひょっとしてあれは…?魔獣とかモンスターとか怪物とか、呼び名は一定ではないようだけど…。

「奥地には魔物がいっぱいいるって聞いたわ。」
「そうらしいね。」

レイリーは特に興味なさそうに答えた。足取り軽い帰り道の彼は心なしか穏やかに思える。


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「つっかれたー…」

ようやく部屋に到着して、どさっと倒れるように私はベッドに横たわった。レイリーとペングウィンもお邪魔しますと小さく言って入ってきては、それぞれソファやらカウチやらに座った。


「体力ないの?ルカさん。」

仕事中ではないからか、レイリーはいつもの純真無垢な子供に戻っている。丸い薄緑の目がこっちを心配そうに見ている。


「ん〜ちょっと…。でも慣れるから大丈夫。」

そう言って苦笑いした自分に、誰かの存在を思い出す。