その後の回収作業は、滞ることなく進んだ。妖精の家というのは初めて見たのだが、彼らはどうやら本棚を住処にしているらしい。
まるでミニチュアのアパートを見ているようで、とても可愛らしい家々が本棚にぎっしり並んでいた。暮らしぶりは私達からはまる見えだが、楽しくやっているように見える。気質も、妖精はそんなに荒くないようで、家賃について言うと、皆快く払おうとしてくれた。
どうやら今回、最も難航することが予測されていたのはペングウィンの滞納金についてのようだ。それも、仲間に加わってしまえば意味もなくなるわけだが…。
無事、妖精からの料金回収が終わった帰り道、私は堆積していた疑問を投げかける。
「ペングウィン・ボールドウィンて本名?」
「左様であります。」
「こいつ、今はこんなだけど、家はいいとこなんだ。」
レイリーの説明にヘェーと私は感心した。
「亜人になる前は、王都に住居がありましたから。」
「その亜人ていうのは、結局何なの?」
「話せば長くなるけど、呪いの類で、その姿形を人間から獣に変えられたものを言うんだよ。」
その話にふと、魔獣の存在を思い出してみる。
「それは魔獣とかモンスターってこと?」
「そうなんじゃないかと言われているでありますね。」