「じゃあいつ払うんだよ?」
「わからないであります。」

レイリーがペンギンの胸ぐらを掴んだ。

「ま、待つであります!ちゃんと滞納金は今日なくなるのであります!それには、貴方様の承諾が必要なのであります!!」
「借りた金は踏み倒させない。以上。」
「そうではございません!私は雇って頂きたいのです。」
「ハァ?」

レイリーは胸ぐらを掴む腕の力を弱めたと思えば、気の抜けた返事を返した。

「私、ペングウィン・ボールドウィン、貴殿達と一緒に家賃回収業をしたいのであります。」
「何言ってんの?」
「私め、これでも昔は王宮で親衛隊の第一部隊に所属しておりました。剣魔術の技術には自信があるのであります。」
「だからって何で僕が君を雇わないとならないんだ。」

ペングウィンは胸ぐらを捉まれ、天井を仰いだまま答える。

「家賃の取立ては厳しい仕事だと聞くであります。奥地に出向くこともおありでしょう。その場合、そのレリーフとステッキだけでは発動できる魔法の数は限られてしまうはずなのです。ならば、私、貴殿達に変わって戦って差し上げましょうと言っているのであります。」
「…でも、今のお前はただの酔っ払いだろ。」

場がしんと静まった。