「!!?」
「あら、このレリーフ。何に使うつもりで持ち歩いているのかしら?」

リュックから出てきたレリーフを拾い上げては、その男が愉快そうに言う。

「返せ!」

レイリーが取り返そうと試みるが、背の高い男のリーチに届かない。

「質問しているのよ。これは何に使うのかしら?」
「っ…そ、それはただのお守りだっ!」
「下手な嘘はおやめないさいね。あたしはこれが何だかわかっているんだから。」

軽くレイリーをあしらうと、男は今度は私の方に視線を向けた。垂れ目に泣きぼくろのあるその目元は、一見優しそうだが、全てを見透かしていそうで怖い。私は思わず背筋を正したものの、次の瞬間、ものの見事にポッケに仕込んだものをその手に取られる。


「あら、こんなものまで?」


男が私からとったものは、護身用にとブランから渡された小さなステッキである。