「いかにも!!私(わたくし)はペンギンでありますよ!!」

中年オヤジの声で喋ったそのペンギンは、よく見れば服まで着ていて、丸いサングラスをしている。しかも微妙に酒臭い。

またしても理解不能な生命体との装具に固まる私の隣で、レイリーはぐいと前に出ると、眩しいその懐中電灯の光をペンギンの顔に当てた。

「親父、家賃滞納しすぎなんだよ。いい加減、払え。」
 
ペンギンは座っていた椅子をプイと180度回転させて背を向けるが、レイリーがぐっと肩を掴む。

「払え。」

ドスの利いた声だ。ヤーさんかこの子供は。末恐ろしい。そうしてレイリーとペンギンは向かい合って睨み合ったまま動かない。

私はどうすることも出来ずに見守っていると、レイリーがペンギンの胸ぐらを掴んだ。

「いいか、世の中金で回ってんだ。借りた金はきちんと返す、払うべきものはきちんと払う。これは常識だ。」

レイリーの子供とは思えないその目つきに、私は思わず恐ろしくなった。

「そんな、私(わたくし)にはもう何も残されて... 」
「関係ねえ。だったら臓器でも売りやがれ。」

レイリーの吐き捨てた言葉に、私は流石にヤバさを感じた。