「それは良かった。今日はね、えと、昨日話せなかったここの料金について話そうと思うんだ。」
近くにあったマカロン型のクッションに跨ったレイリーが、バッグからまた紙を取り出す。私も同様に、エクレアの形をしたソファに座ると、無駄にぶよぶよした座面で体が上下した。
レイリーは、子ども独特な甲高い声でケラケラ笑うと、反省の色もなく話を始めた。
「僕はこれでもビジネスマン。嫌いな言葉は奉仕精神、座右の銘は金で世界は動いてる。」
突然自己紹介を始めたレイリーに、うわーなんて可愛くない子どもなんだろうと率直な感想が浮かんだ。私は黙って話を聞いた。
「うん。」
「当然、この部屋を使えば、賃貸料が発生します。」
「そうなるわね。」
「でも君は異世界人だから、普通に料金を支払うことはできない。」
「そうだね。」
「多分、今頃君は異世界人として報告されているから、公務で君の世話をしている副隊長殿はポケットマネーからは支払いができない。」
「う、うん。」
「僕としては、料金さえ支払われれば、お金の出所はどこだっていんだけどね、真面目な人はそういうことしたがらないから。」
「……。」
真面目ってブランのことだろうか。
「まぁ、異世界人のお世話をする場合、上からお金が出るっちゃ出るんだけど。その程度の金額じゃこんな場所には住めないから、副隊長はよっぽど…」
レイリーは何か思い出すように、左上に視線をやると、一人でクスッと満足げに笑った。
「まぁ、他人の事情なんてお金絡まない限り興味沸かないけど。とにかく、君は料金を自分で支払ってもらわなきゃならない。」
「私は何をすればいいの?」
私の質問に、レイリーがズイッと一本の指を私の目の前にかざす。