昨日来た道を辿って、遠くの方に大きくて豪勢な建物があると思えば、やはり図書館の正面入り口だった。私は外から見るのは初めてだったが、特筆すべきはその装飾と、山の斜面にめり込んだ建物奥部だ。

表は、5つの名家の家紋であろうか、5つのシンボルと誰か偉い人の格好つけた彫刻が10体ほど飾られている。どのすぐ奥が正面玄関となるのだが、建物のその他の部分は、後ろに位置する張り出した絶壁の埋もれている。…災害か何かで派手な土砂崩れでもあったかのようだ。

確かに不思議な図書館ではあるが、その歴史まではわからない。謎が多い異世界生活にいちいち突っ込んでいたらキリがない、と足早に館内に入った。




気のせいなのか、昨日より若干混み合っている廊下を、人ごみを掻き分けて、開けた閲覧エリアまで移動した。目立つシルクハットとでかい犬の姿はもちろん見当たらず、仕方なく唯一の当てがいる場所へと向かった。