その後、エレベーターが目的の階に着くまで、ずっと無言で、私は勝手に色々考えでドキマギしぱっなしだった。
一方のブランの様子はこちらからは伺い知ることはできなかった。だが、彼は落ち着き払っているように見えた。私なんか、静かすぎるエレベーターの中で、うるさい心臓の音がブランに聞こえてるんじゃないかとかいらない心配までしてたのに。
エレベーターが止まって、振り返った彼の顔を見たら、すべて取り越し苦労だったんだという気持ちになった。
がっかりするようで、私は内心ホッとして、私の鼓動は通常の早さに戻った。
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それから地下通路のような場所を通って地上に顔を出せば、家々の屋根の間からはお日様が昇りかけているのが見えるではないか。
なんてことだ。もう朝か。
芝生を抜けて、彼の家と思わしき家に到達する。
なるほど、身分が高いとは聞いていたが、本当にでかい家だ。
そんな家に不釣り合いな、小さな少女がポツリ、大きな玄関のドアの前で腕を組んで仁王立ちしている。
なんだこの異様な光景。