「ブランはそんなに偉い人なの?」
私の質問に、アルトは黙って頷いて見せる。
「でも、レイリーもケイレブには様付けだったのに、ブランには言いたい放題だったけど。」
「アイツは結構カジュアルなタイプだから、あのクソガキにもあんな口のきき方許してんだよ。俺だったらまず噛み付いてやるところだけど。」
アルトの発言に、思わずブランのような苦笑いが出てしまう。それはちょっと痛いんじゃ.... 。
「どうかすれば、アイツはケイレブの野郎よりも上かもしれないってぐらいだ。ケイレブはどっちかてーと行政官だから、系統が違うっちゃ違うけどな。」
「そもそもケイレブさんの偉さが私にはわからないけど。」
アルトは困ったように、頭の後ろをぽりぽりと犬の足で掻いた。
「ケイレブは要するに、この街を取り仕切る最高会議の選考メンバーの一人だ。ちなみに親父もそうだ。」
「すごい偉いのね!」
「そう。それでこの街ごと買える位、アイツの親父と共に大富豪だ。」
「なるほど。何かイラっとするわね。」
「...それで、ブランはそーゆーんじゃねーけど、軍人の階級としてはすごい位が高いんだよ。あと、家も名門だ。」
何か、私のイメージの中のブランがぐらっと揺らいだ感じがした。そんな偉い人だったなんて... 。
「 図書館のセントラルエリアに行った時、そこらじゅうに家紋がついたような旗とか、彫刻があったろ?あれは主に、この街の五大名家の家宝や盾が飾られているんだ。あの五大名家の一つにあいつの家は入っている。アンタがアレに見とれてる時、俺はアイツは話すつもりだったんじゃねーかと思ったんだが、綺麗に飛ばしやがった。」
「な、なんで私にブランは自分のこと話したがらないの?」
私のこころは複雑に揺れる。隠し事?どうして?