「うん?」
「.... 実はもう一人、あんたの周りにはすごい位が高い人がいる。」
私ははた、止まって考えた。これは暗に、アルトのことをもっと敬えというこのなのか?
「アルト?」
「俺じゃねーよッ!」
素早くツッコミが返ってきた。コントか。
「いや、俺も偉いけど、すっごい偉いけどッッ!!」
あまり取り乱さないアルトが力説する姿は何だか滑稽だ。私は思わず笑い出してしまう。
「何笑ってやがんだクソガキ。」
アルトから殺気を感じて、笑いは急激に引っ込み、私は姿勢を正した。
「... 話は戻るが、ケイレブの奴の他にも、アンタを囲む人物として言っておかねばならない人物がいる。」
消去法で、レイリーでなければもうブランしかいない。
「あいつは自分で言いやがらねーから、俺が代わりに言っとく。」
「うん」
「アンタを本当に無事に元の世界に送り届けたいと願うなら、自己紹介はキチンとしなきゃいけねーもんだと俺ァ思うんだが、アイツにも色々事情があんだよ。」
なんだか段々、誰のことを言っているのかはっきりしてきた気がした。
「あのクソシルクハットはよぉ。」
やっぱりそうか。