「異邦からのゲストっていうのは本当にひさしぶりだよ。きみは今の状況に困惑してるかもしれないけど、オレは慣れてるから大丈夫。」


私は男の言葉にただ瞬きを二回することしかできなかった。何を言っているのかさっぱりわからない。男は面識のないはずの私を前にして、至ってカジュアルだ。手慣れている様子すらある。

男は私の反応を見ると、腰掛けていたゆったりとした二人掛けのソファから立ち上がり、ゆっくりこちらに向かうと、床に半分倒れ込んでいた私と視線が同じくらいになるように屈んだ。


綺麗な緑色の目が二つ私を覗き込む。反射してその瞳に映った私の姿は戸惑っているように見えた。


「....まあ、慣れるのに時間はどうしてもかかるんだろうけど、必ず安全に帰る方法はあるはずだからさ。」


まるで私より私の置かれている状況を理解しているような口ぶりだ。相変わらず眉間に皺を寄せているであろう私を見て、緊張を解きほぐそうと男は小さく苦笑いした。そしてスクッと立ち上がると元のソファとティーセットがあった方に向かった。