「で、ここから先は不動産屋に任せる。」

不動産…てまた随分と現実的な響きの単語が出てきたな。

ここで私の頭に不安が顔を覗かせる。


「ちょ…待って!部屋借りるのは無料じゃないの?」
「ブァカかてめー。世の中タダでなんでも提供されるほど甘かねーんだよ。」
「…お金が必要ってわけじゃないんだよ。」

ブランのストレートでない物言いに、私は一抹の不安を感じ、言葉に紡いだ。

「もしかしてものすごいことを要求されるの?」
「え?」
「ものすごいキッツイ労働とか、裏の汚い仕事とか.....も、もしかして体で稼げとか!?」
「そうそう、それほどここの部屋の使用料はたっかいんだぜ〜?」
「アルト、悪ノリしない。」

ブランの制止も空しく、会話は背後から現れた人物の登場によって、大きく横道にそれる。


「いいね。それ。」


聞きなれない声がして振り向けば、赤毛にそばかすの少年がそこに立っていた。