「というわけでここはセントラル。」
私たちが降り立った場所は、今までいた場所と全く違っていた。
全てが荘厳。豪勢。それでいて歴史も感じる、そんな造りだった。
まずは天井が高い。モンスターが襲ってきたあの部屋の天井も高かったが、こちらも同じくらいは高い感じだ。3階部分まで吹き抜けになっている部屋のそれは10mくらいはありそうで、ぶら下がるシャンデリアは1つなどではなく、3メートルおきほどに配置され、広い部屋を隅々まで明るく照らしている。
天井、壁を飾るのは細く描かれた油絵の絵画で、神話か何かをモチーフにしているようである。その次に目立つのは、色とりどりのバナーが二階部分から飾られ、あちこちに盾に刻まれた紋章だ。少なくとも5種類くらいはあるが、ここの支配者の家々なのだろうか。本棚のいたるところには、デッサンか何かの白黒の肖像画や、船舶、小道具の絵が額縁に飾られている。
そして中央には大きな地球儀のような丸いモニュメントと、その背後には賢人らしき人物が本を抱えている彫刻が立っている。広いその部屋に甲冑や剣、小さめの彫刻が本棚の間に点在している様は、さながら美術館とその一部が合体してしまったかのようでもあった。
列を重ねる本棚は、重厚な木の造りで、背が高く、ハシゴなしには一番上の棚は届かないほどだ。大きな通路がクロスに交差する空いたエリアは階段3段分低くなっており、閲覧用の長い机がずらりと並んで、多くの人で賑わっている。その通路は左右の廊下に続いていて、アーチ型の入り口から、向こう側にもさらに多くの本棚があることが見て取れる。
「随分関心してるよーだな。」
見とれていた私は、アルトの低いモノトーンな声でハッと我に返った。
「その反応も同じだね。」
「え?」
「君らの世界にはこういう図書館てあまりないのかな?」
ブランがクスクス笑っている。ないわけではないだろうが、スケールが違うし、何より普段そうそうお目にかかれるものではあるまい。