「これからてめーはどーすんだ。」
唐突にアルトが口を開く。ブランは事も無げに、「とりあえず報告。」と答えた。
「それから資料の確認。」
「それが重要だな。」
付け加えた事項で、また珍しくブランの顔は真剣な様相を帯びた。口の悪いアルトからもその様子は見て取れる。
様子に訝しがった私に、またブランは笑いかけた。
「大丈夫だよ。ただの事務作業だから。」
「事務作業?」
「そう。異世界からの住人を保護してるっていう一応の報告がいるってだけだから。」
「ふーん。」
この世界にも色々と複雑なことがあるのね、と興味もなさそうに私は答えた。「ははは。そうだね。」とまたブランは笑ってみせるが、アルトの表情は和らがない。
そんなアルトのことは放っておいてブランが続ける。
「とりあえず、図書館ツアーにでも行こうか。」
「てめー仕事は?」
「まだ小一時間あるから。」
そう言って、二人と一匹は、午後の日差しが優しく注ぐダイニングを後にした。