「か、帰らないとあなた達にも迷惑でしょう?」
「なんで?」
「だって明らかにブランさっき怒ってたじゃない。」
「よくあること。」

オースティンは真面目にとるでもなくケラケラ笑った。そんなんでいいのか。

「俺は帰るぞ。」
「え、なんで!?アルトもいてよ。」
「俺ァ面倒なことに巻き込まれるのは御免だぜ。俺がブランの奴に頼まれてるのは、おめーが危険な目に遭わないようにすること。討伐隊のメンバーがいるならまず命は大丈夫だろ。」
「男ばっかだから、別の意味で危険かもわからないけど。」

爽やかな笑顔でオースティンが突っ込むと、アルトは「知るか。」というように目を回した。

「まぁ、てめーの意思次第だ。」
「そんなこと言われても…」
「オレの部屋に来る?」

私の気持ちなどお構いなしなオースティンに、また吹き出しそうになってしまう。

「な、なんでよ!?」
「ふふ、冗談。」
「俺ァ帰る。」

言って、私の返事を待つでもなく、アルトはさっとドアの向こうに消えてしまった。