美味しい紅茶を飲みながら、私は改めて部屋を見回した。家具と分厚いカーテンで誤魔化されているようではあるが、壁に巨大な穴が開いた後が見て取れる。

そちらに視線をやると、私が質問するまでもなく、リアムが言った。


「巨大な魔獣に破壊されたんだ。」
「チャッキーにね。」
「チャッキー?」
「通称チャッキー。黒い巨大な怪物で、オレたち2、3人いないと倒せない。」

確か、この部屋で目覚めてすぐに襲ってきたあの生き物も、黒くて巨大だったっけ。当時は何が何だかわからなくて、事態を理解する前に一人でブランが倒してたみたいだけど…。

「そ、そんなものが、壁に突然突っ込んでくるような場所に私たちはいて大丈夫なの?」
「あれは例外だろ。そんなことは普通はあり得ない。」
「そ、そうなの?」

おずおずと答えた私にライアンはニッコリ笑った。