フカフカのソファが囲む、小さなテーブルの上にあるティーセットが目に入れば、思わず反射的にとある人の顔が浮かんだ。

「ブランの?」
「おお。よく知ってるね。あの人異常に紅茶好きだから。…飲む?」
「あの花は入れるなよ。」

ライアンがティーセットに駆け寄って、紅茶を入れてくれようとすると、リアムが目を細めて忠告した。

「入れないって!」
「…アンタも座れば?」

怠惰にオースティンはバフっと近くのカウチに沈んだ。私も言われるままにランダムに放置されているソファの一つに腰掛ける。広い部屋で居心地が悪そうなアルトは犬のように同じ場所をくるくる回っては、体を丸めてようやく座った。

「ブランの奴は来るんだろうな?」
「一応オレたちの副隊長ですから。」

アルトは落ち着かないのか、そう質問するとライアンが即答する。

「ブランはどうしていないの?」
「あの人は、基本討伐隊以外にも色々やってるから。ローズブレイド家の長男だし。」

ライアンが差し出した紅茶は、温かく、フルーティな香りが漂う。