結局、ライアンの押しの強さと私の好奇心が後押しして、その場を離れて彼らの”つるみ場”とやらに行くことになった。

オースティンを先頭として、ぐんぐんと図書館の奥地へ進むのを、私が不安そうな顔をして見ると、ライアンがゆるく笑って言う。

「モンスターがうようよいるようなエリアにあるんだよな〜、有り得ないだろ。」
「だ、大丈夫なの?」
「普通は大丈夫なはずないけど、俺たちは大丈夫ってことにされてる。」
「それでいいの?」
「いや、良くない。実際何回か危なかったし。」
「だが誰かがこの仕事をやらねばならない。」

横で話を聞いていたリアムが淡々と答えた。

「そもそもどんどんこの図書館は大きくなっている。奥地はどこまで進むのか誰も知らない。奇妙すぎる話だが、400年前のとある事件があってからそうなっているらしい。」
「400年前…?」
「そうそう。変な話だよなぁ?今度の謝肉祭でちょうど400年になるらしいんだ。」

ライアンがケラケラ笑って軽く言うが、リアムの顔は真剣なままだ。

「まぁ、世の中わからないことだらけだ。」
「ホント、不思議な世界なのね、ここは。」
「オレたちからしてみれば、アンタの世界の方が不思議だけどね。」

先頭を歩いていたオースティンが話に割って入った。