ブランとアビゲイルが降りようとして、私はハタと思い出して慌てた。
「ブラン!そう言えば私、仕事!」
「え?....ああ、はは。」
一瞬なんのことかわからずに、ポカンとしたブランだが、私の意図を掴んでから付け加えた。
「レイリーだって鬼じゃないから。今日くらいはオフにしてくれるんじゃない?」
「いや、あの子仕事に関しては鬼だよ!」
ハハハと笑うブランに、レイリーの取り立ての様子を見てしまった私が抗議する。
「オレから言っとくよ。」
「そんな...また迷惑かけちゃう。」
しゅんとした私の頭を大きな手がポンと触る。
「そういうのも含めて、保護者の仕事。」
優しく笑って馬車を降りたブランに、胸がキュンと痛くなる。