「甘いですわ...旦那様。」
「え?」

“旦那様”と呼ばれたブランが顔を上げると、いつの間にか回収されていた私の寝巻き私のポッケを探ってアビゲイルが護身用のステッキを取り出した。

「魔法が解除されておりますわ...」
「本当だ..」
「この複雑な術式を解けるものはそう多くはないことは旦那様もご存知の通り。旦那様も含め昨日の真夜中は、その候補者たちのほとんどは一箇所に集まっておりました。」
「...。」

ブランがアビゲイルの言葉に耳を傾ける。私は当然なんのことだかさっぱりだ。

「....ですが、第一発見者のザッカリー様は、この術式の解除が可能ですわ。」
「アビイ!」
「可能性のお話ですわ。」

アビイは淡々と答えた。