門の前で待っていた、ツンツンツインテールの少女、アビゲイルは口をへの字に曲げて私を見上げた。この不機嫌そうな顔が彼女のデフォルトなのだろうか、前回から一切表情は変わらない。
その時、門の前で、ピンク色の派手な装飾の馬車かキキッと止まった。シーランド家の門番が門を開いて一礼すると、アビゲイルは先陣を切って馬車に乗り込む。
馬車の扉を閉めると間も無く車を発車し、無言で包まれていたその空間はブランによって破られた。
「ありがとね、アビイ。」
「何がですの?」
フンと外の景色を見て顔を背けるアビゲイルに、ブランは苦笑いながらも感謝していた。
「君がいなきゃ、こうしてルカを迎えに来れなかった。」
「でしたら、彼女をキチンと守ってあげたら良かったんではなくて?」
正論を返されたブランはまた苦笑いだ。