「オレのファミリーネームはローズブレイドで、この街の五大名家のひとつに当たる。」
広場の裏通りに並ぶ店は、どれも小綺麗で小さく可愛らしいものばかりだ。少し暗くなり始めて、小さい明かりがポツポツと点き始めれは、辺りはより一層ロマンチックに見えた。
そんな通りをゆっくり手を繋ぎながら歩き出した私たち。一件一件、ショーウィンドウが過ぎ去っていく。
「五大名家は主に、この街の発展に大きく関わった家で、街では至る所でそれシンボルを目にする。例えば...」
ブランがここからでも見える、大きな時計台を指して言う
「あの時計盤に刻まれているのは、ローズブレイドの家紋だ。時計台の建設に費用を一番多く出したからだ。」
「....ブランの家ってすごいのね...」
「曾々祖父の代の話だけどね。」
そう言ってブランが笑う。