「ズルい〜!」という女たちの声が聞こえて、ふと自分たちが注目の的となっていることを知る。ザッカリーは観衆に笑顔で応えると、またきゃーと黄色い声が沸いて、振り返りざまに言った。
「是非、また話がしたいね、ブラン君。今度はオレから何か誘わせてもらうよ。」
「ああ。待ってる。」
気を置けない間柄なのか、ザッカリーはブランと話すときは大分ラフに感じる。
ザッカリーが瞬く間に群衆に囲まれて消えていくのを見て、注がれていた視線はもうなくなるかとホッとしたが、相変わらずギャラリーはこっちをみていることに気がついた。
「...行こう。」
そう言って、ブランに手を引かれたと思った次の瞬間にはまた別の場所にいた。