何かちょっと感じ悪いな、と思って私が不満に感じていると、聞いたことがあるような、それでもやっぱり記憶の声よりやや高い声が上から降ってきた。
「ブラン君!」
そして覚えのあるバラの香り。振り返れば、そこにケイレブによく似ているが、若干若い、華のある男が立っていた。
「ザッカリー...」
ブランがボソリと呟く。辺りは突然の弟登場に騒めき、女たちが声を上げるが、ザッカリーはそれを制した。
「ちょっと待ってね、君達可愛い子ちゃん達のあとは後だ。」
さらりと言ったザッカリーは、まさに絵になる金髪碧眼の王子の様だったが、如何せんその高飛車な態度が鼻につく。