「じゃ!またね!またあした♪」


「うん!!バイトがんばってね~♪」


アタシとカナエは学校の側の河川敷で二時間ほど喋り、そのまま解散した。
カナエはカバンを自転車の前かごに投げ入れて、風のように自転車を猛スピードで漕いでいった。

あんなにダッシュしなくてもいいのに(笑)

アタシは心のなかでそう思った。


━━━カー...カー...


「もうこんな時間かー。かえろ」


カナエを送ったあと、アタシは1人河川敷でたそがれていた。
春の少し冷たい風が頬に当たり始め、川の水は夕陽に照らされて、眩しいぐらいだった。

自転車の鍵穴にカギをさして、イヤホンを携帯にさす......

ってアレ?!?!?!
え、うそ、携帯ない?!
ちょっと、まじ?!命の次に大事な携帯が...


思い出せ思い出せ...最後どこで使った?!
体育館?教室?
とりあえず、学校戻ろう!!


━━━ガラガラ!


「はぁ、はぁ...」


猛スピードで学校に戻り、4階まで一気に階段をかけ上がった。
勢いよく開けた教室の音だけが誰もいない教室のなかに響き渡る。


「えーもー...携帯どこ?!」


何分探したのか、窓の外はさっきまであった綺麗な夕陽は沈んで、真っ暗になっていた。