「ルナ!さっさとかぶって、ケツ乗れって」


カズキは二人に聞こえないようにアタシにヘルメットを強引に渡してくる。

アタシの目は二人をとらえたまま。


「あれ?ルナじゃん!!こんなとこで会うとわー♪」


あーまじでタイミング悪っ。
てか、なんでここいんの。


「カナエ楽しそうで何より~♪ずっといたの??」


聞きたくもないのに、こんなことを質問してしまうアタシはバカなんだろうか。


「うん♪学校出たあと、河川敷行って~そのあとここきてご飯食べてた♪」


こんな夜遅くまで二人で?二人っきりで?
よくまぁ、初対面なのに時間つぶれるな。


こんなことばっかり考えるアタシって性格悪(笑)


「それ、カズキのメット?」


アタシとカナエの会話を割り込んで入ってくる、アヤト。
イライラが募る。
なんで、こんな2人見てイライラしてんだ。アタシ。


「...」


アタシは一番聞きたくなかった声が聞こえたせいか、なにも答えられないまま、ボーッと突っ立ってるだけ。


「アヤトちゃーん♪こんな遅くまで女の子連れ回しちゃだめでしょ♡早くおうち帰りなさーい♪」


「カズキくんてそんなキャラだったの?!(笑)え、むっちゃおもしろいんだけど!今度4人であそぼーよ♪てか、アタシらお邪魔だったよね?アヤト早くいこ~」


カズキは呆然と立ち尽くすアタシの手の中のヘルメットを奪い、アタシの頭にかぶせる。
気を使ってくれたのか、このびみょーな空気をカズキは持ち前の明るさで、吹っ切ってくれた。


アタシとカズキがどのように見えたかわからないが、カナエはアタシに小さく手を振って、アヤトのバイクのケツに慣れた手つきで乗り込む。


━━━ブォォォォン


わざとらしく、うるさい音を立てて、カナエを乗せたアヤトのバイクは、日も暮れた夜の道に消えていった。