撮影……とまぁ、私はモデルをしてますが。
親の七光りというか、母の知り合いが可愛い女の子モデルが欲しいと母に相談したらしく。
親バカである母は私と姉を勧め。
姉の方が美人なのだけれど、断固拒否した姉の代わりに私が1度だけという条件でのった。
けれど、意外にも写真写り(メイクの力)がよかったらしく、雑誌の売れ行きがよかったとかでなんだかんだ今に至る。
もっと美人さんを見つけるべきでは。
と思わなくもないけどね。
放課後、制服のまま撮影現場に直行。
ついた瞬間、たくさんの人でごった返す現場。
そんな中で、私に気がついて1人の女性が近づいてくる。
「待ってたよ〜。はいこれ、今日最初の衣装ね」
そう言って渡されたのは、なかなかに露出度の高いワンピース。
サイズを間違ったら胸が見えそう。
内心うげーと思いつつもそれを受け取り着替える。
ワンピースの上に1枚薄手のパーカーを羽織るみたいだからまぁいいか。
着替え終わるとメイクです。
メイクさんが私の顔にファンデーション、そしてチークをふんわりとのせる。
いつも思うけどメイクってすごいよね。
私メイクなかったらプライベートでも写真とれない。
ささっとメイクを終えた私が現場に入ると、後ろから何かが大きかぶさった。
「かーさねちゃん!おっはよー!」
その物体は元気にそう挨拶してくれた。
「おはようございます、拓馬くん」
ので、私も返す。
けれど彼と違って私の顔には笑顔なんてありませんよ。
「わぁ、セクシー。そんな格好の花紗音ちゃんが隣にいるなんて緊張しちゃうね」
とのたまう彼は、片桐 拓馬くん、歳は19。
金色に染めた髪はキラキラと輝いていて、無邪気そうな、けれどとても整った彼の顔を飾っていた。
相変わらずきれーな顔ですねーと密かに見とれていると。
「何言ってる、拓馬。セクハラか?」
と言いつつ拓馬くんの後ろから男性が歩いてきた。
「なんどと時羽?俺は可愛い花紗音をだな…」
「おはようございます、時羽くん」
「おはよう」
拓馬くんとは雰囲気が全然違う彼は、片桐 時羽くん。
ちなみに2人は双子です、似てないけど。
時羽くんは黒く艶がある髪。どっちかというとキツそうな印象のイケメンさん。
「にしても、確かにその格好は如何なものかと思うぞ?」
そうですね、私も思います。
「なんか、禁断特集とか言ってましたよ」
「うっわ」
「だから俺達の衣装もこんななのか」
こんな、と視線を下にずらせば。
拓馬くんは白いシャツを前全開にして、首元から下がるプレートネックレスが目立つように。
時羽くんは第三ボタンくらいまで開けた黒シャツで、緩くネクタイが首にかかっている。
そうですね、こんなと言いたくなる気持ちはわかります。
仮にも高校生モデルと成人前のモデルにやらせる仕事ではないと思いますね。
特集に対してバラバラな反応を見せる2人とは、なぜかデビュー時からよく一緒に仕事させてもらってます。
なんか雰囲気があってるとかで。
「まぁ何枚かとったら着替えますし」