「……………どうなんだろうね」
私にもよくわからないの。
その答えを聞いた遥香は。
「アンタらってなんで付き合ってんの……?」
と、ため息混じりに呟いた。
……そりゃあ、好きだから付き合ってる。
告白したのも私からだ。
………絶対むりだと思ったけどね。
……………まさかのOKだけど、でも。
「………不安は……1周回ってもうないかな」
「……それはやばいと思う」
呆れを通り越して無になっている遥香は、半分食べたドーナツを袋にしまってから。
「浮気容認してたら、捨てられるよ?都合のいい彼女ってだけだったりしたらさ」
「………私、容認した覚えないんだけど」
残念ながら浮気は艶がどうのとかで容認できる心持ちはない。
だいたいそんな立ち位置なら告白なんてしない。
けれど、遥香は二つめのお弁当を取り出しながら。
「結果的にそうなってるでしょ」
と言い放った。
「………困った」
「まぁでも、ゴチャゴチャ言えないこととして、あんたも無意識的にそういうとこがあるからなんだよねぇ」
「何の話………」
「口下手であんまり笑わないくせに時々見せる笑顔は可愛いし、優しいし…なんていうの?何故かモテる系女子」
「………………………」
なんか、複雑。
確かに、よく言われるのだ。
父母は感情をよく表に出す人で、笑顔が絶えない。
姉の鈴奈もよく笑う、愛想のいい女の子なのに。
…………私は……。
ふと窓に目を向ける。
そこにうっすらと映るのは、口角を上げることなく結ばれた口元、少しつり上がったキツそうな印象の目元。
お世辞でも愛想がいいとは言えない。
「………私、表情筋どこに忘れたんだろ」
「ぶっ!!」
切実な私の言葉に、遥香は吹き出した。