「宮西、これどうもな」

「もう、教科書なんて男子に借りてよ。

唯たちに、私達がいい感じだなんて馬鹿なこと言われたんだから」


またニヤニヤしながらこっちを見ている唯たちに聞こえるよう、わざと大きな声でアラケンを叱る。


「悪い悪い、だってお前すぐそこに座ってんだもん」

去り際にバシッとアラケンの背中を教科書で叩いてから、私も自分の席に戻った。


……気のせいかもしれないけど、なんだかまたヒロに見られている気がする。

多分私が今顔を上げると、また目が合ってしまいそうな感じ。


「……おい、ヒロ聞いてんのかよ?」


大嶋の声が聞こえてきた。ヒロ、ぼーっとしてたのかな……