「俺、今ちょうど二年生のクラスを受け持っているんだ。

注意したら反抗されたりするけれど、あいつら基本的には無邪気なんだよ。

俺らもあの頃はそうだったのかな」


なんて返したらいいのかわからなくて、私は大嶋の目を見ながら運ばれたばかりのジョッキに口をつける。


「自分が中学生だった頃をたまに思い出したりするけど、あの時に感じていたことも、時が経ったせいか大人の感覚になってすり替わっている気がするんだよな」


「なんか、難しいこと言うね。酔っ払ってるの?」


大嶋は「そうかもな」って言いながら、ジョッキの半分を喉の奥に流し込む。私は、見慣れない彼の喉仏が上下するのを黙って見ていた。


「長い時間を経て、自分の中で勝手に過去を脚色しているんだ。例えばさ……」


大嶋がジョッキをテーブルに置いてから、軽く咳払いをした。